心書「命」1210

『命』

花は散る
人の命も
いずれ散る
時間は命
今こそ全て

3年前に父が他界しました。

これはちょうどその1年後、
父の命日に書いたものです。

父は貴金属の職人でした。

本当に器用でしたね。
何でも作ってしまいます。

逆に僕は工作みたいなことが苦手です。
日曜大工?
期待には応えられそうにないです(笑)

僕が子どものころ住んでいたのは、
六畳一間の小さなアパートです。

父と母はその部屋で仕事もしてました。
僕と兄が寝る時間になっても明かりはついたまま。
毎晩遅くまで仕事していましたね。

六畳一間でやっと寝ていた感じでしたが、
その狭い所に何故かいとこの兄ちゃんや
姉ちゃん3人が代わる代わる居候していました(笑)

僕の幼少期は身体も弱く、人見知りで泣き虫。
幼稚園ではいじめられてました。

今みたいに複数によるいじめではなかったです。
昔はどこにでもいたガキ大将みたいな子にいじめられてましたね。

僕にとって父は少し怖くて近寄りがたい存在でした。
父は僕のことが心配だったのでしょう。
小学生3年生のときに僕を少年野球チームに入れます。

僕はハッキリ言って運動音痴です。
野球をやっても全然ダメでした。
打つのも、捕るのも、投げるのも、全てです。
そんな感じなので面白いわけがありません。

あまりに下手くそな僕を見た父親が決心します。
練習日以外の日も練習することになったのです。

もちろん僕はやりたくありません(笑)
放課後に友達と遊びたい気持ちを抑えて
いやいや練習していました。

1年半くらいは成果がなかったでしょうか。

でも5年生になったときに奇跡が起こりました。
大げさかもしれませんが僕にとってはです。

試合か練習試合かは忘れました。
僕の打順が回ってきたのです。

僕はどうせ打てないのが分かっていたので
トボトボとバッターボックスに向かいます。
相手ピッチャーはビクビクと自信なさそうな
僕に容赦なく投げ込んできます。

相手が投げ込んできた球に
どうせダメだろうと思いながらも思いっきり振りました。

すると今まで感じたことがないような感触が手にあったのです。
僕はバッターボックスでキョトンとしていたのですが、
チームメイトが『何やってんだ!走れ!』と叫んでいます。

我に返った僕が前を見ると僕の打球が外野の間を抜けて
それを相手の外野手が追いかけています。
僕は必死に走りました。
そして気づいたらホームベースを踏んでいたのです。

信じられないことに、
はじめてのヒットがランニングホームランだったのです。

それから、、
不思議とバットにボールが当たるようになりました。

何が変わったのか?

潜在意識で『バットにボールが当たるはずがない』
という強い思いがあったのでしょう。
それが取れたのです。
『バットにボールは当たる』と。

陸上の短距離100mでこんな話があります。
いまでは9秒台が出ることを疑う人はいません。

ですが10秒を切るまでは壁でもありました。
でもひとりが10秒をきりはじめると次々と9秒台を出し始めます。

これは『9秒台は壁だ』という思い込みが
実際にその壁を突破した人が現れることに
よって取れたことを意味しています。

この短距離の話は僕が起こした小さな奇跡とは比べられません。
でも誰の人生にもこのような瞬間は起きる可能性はあるのです。

もちろん僕の奇跡を演出してくれたのは父です。
僕にとってはまさかの出来事でしたが、
貴重な成功体験をさせてもらいました。
本当にありがたいことです。

父は膵臓癌でした。
入退院を繰り返して
発見から1年9ヵ月後に亡くなります。

僕たち家族3人は父が寂しくないように
時間をずらして病院に行きました。

午前中から3時くらいが母。
夕方が兄。
そして夜が僕です。

父と最後に話したのは僕でした。
その日父はかなりの熱があり調子が悪かったです。
帰り際、僕が『父さん、また来るね』という声に、
父はろれつの回らない口調で『あ、、あ、り、、が、とう』
それが最後の言葉でした。

翌日病院から呼ばれて駆けつけたときは意識がなかったからです。
そして家族や親類が見守る中、息を引き取りました。
みんなの『ありがとう』の声に見送られながら。

家族とは限りませんが、
自分の身近な人が亡くなったときほど
『命』というものに向かい合い深く考えるものです。

父の命日にそんなことを思いながら書いたのが『命』の書です。

いのちが有限というのは厳然たる事実ですが、
あまり直視したくないのが本音ではないでしょうか?

魂は不滅で何度も生まれ変わります。
でもこの肉体での生は一度限りです。

いまこそすべて

過去でも未来でもなく
現在(いま)こそすべて

過去も未来もなく
あるのは永遠に続く現在

僕たちは学ぶために使命をたずさえて生まれてきました。

あなたの学びはなんですか?

そして、

あなたの使命はなんですか?

そのために、

あなたはいま何をしていますか?