児玉石神事~玉依比賣命 (たまよりひめのみこと)神社に初参列
目次
奉納された勾玉の数の増減で吉凶を占う『児玉石神事』に初参列
『玉依比賣命(たまよりひめのみこと)神社』
長野県長野市松代町にあるこの神社には、少し変わったご神事があるのをご存知ですか?
古来より奉納されてきた勾玉を数えて、その数の増減でその年の吉凶を占うというものです。
勾玉は古墳や田畑から出土したものから、個人が奉納したものまであり、大きさも形も本当にさまざま。
毎年1月7日に行われるこの「児玉石神事」には不思議なことが起こる年があるといいます。
前の年に、誰も奉納、寄贈していないのに増える場合があるというのです。
それは「生まれ石」と呼ばれ、奇瑞(きずい)とされます。
奇瑞とはめでたいことの前兆として起こる不思議な現象のこと。
ちなみに、新たに奉納、寄贈された勾玉は「来たり石」と呼ばれます。
また、逆に減ることもあるそうで、その年は凶とされます。
今回、吉野由美さんからご縁を頂き、この「児玉石神事」に参列できる機会を得ることができました。
吉野由美さんは神主の資格をお持ちで、
神様に真摯に向き合いながら、全国の神社を巡っておられる方です。
とてもフットワークが軽い方で、なんと全国の一之宮を3回も廻られたとのこと。
そして、ご縁のある方に神社や神様についてのご案内をされています。
由美さんは、この「児玉石神事」を卒論として書かれていて、
それだけ、このご神事にご関心をもっていらっしゃるのを感じます。
由美さんから頂いた今回のご縁。
現地で、肌で感じた「児玉石神事」とは一体どのようなものだったのでしょうか?
『玉依比賣命(たまよりひめのみこと)神社』とは?
まず「児玉石神事」が行われる「玉依比賣命(タマヨリヒメノミコト)神社」について少し触れたいと思います。
この神社が鎮座する長野県長野市松代町は、
有名な武田信玄と上杉謙信の川中島の合戦があった場所。
江戸時代には真田幸村の兄、信之が治めた地でもあります。
主祭神は「玉依比売命(タマヨリヒメノミコト)」で、合祀は「天照皇大神・建御名方富命・素戔嗚尊」です。
由緒によれば、人皇八代孝元天皇十六年四月十六日東条斎川の地に勧請されたとあり、現在の地に鎮座したのは寛喜二年(1230年)。
延長五年(927年)左大臣藤原忠平らにより撰進された延喜式五十巻の中にある神名張に記載された信濃国四十八座の式内社の一つとして、その歴史は極めて古いです。
現社殿は天保四年(1833年)に改築された八棟造りを模した荘厳な建築となっています。
主祭神の「玉依比売命(タマヨリヒメノミコト)」は初代神武天皇の母です。
神話によると、綿津見大神(ワタツミノオオカミ)の子で、姉の豊玉比売命(トヨタマヒメノミコト)が山幸、またの名を火遠理命(ホオリノミコト)との間にもうけた子ウガヤフキアエズを育て、後にその妻となって神武天皇を産んだとあります。
ホツマツタヱでは少し解釈が違っています。
タマヨリヒメが加茂川で禊をしていたところに空の神ウツロヰが現れて、問答した後に子ども(ミケイリヒコ)を身ごもり、
その皇子と高野の森に住んでいたところに天皇ウガヤフキアエズの使者がやってきて、天皇の妃になるよう誘われたとあります。
ちなみにその加茂川の上流にあるのが上賀茂神社で、御祭神はニニキネ(別雷)です。
また、「山城国風土記」には、賀茂建角身命(カモタケツヌミノミコト)の子で、
川上から流れてきた丹塗矢によって賀茂別雷命(カモワケイカズチノカミ)を懐妊したとあります。
書物によってさまざまなお話がある玉依比売命(タマヨリヒメノミコト)ですが、
「タマヨリ」という神名には「神霊の依り代」という意味があり、巫女を指すので同一人物ではないというお話もあります。
いろいろな解釈があって当然ですし、それでいいのだと思います。
古事記や日本書紀は日本の神話や歴史を語る上では重要な書物ということになっていますが、
登場する神様の全ての面が書かれているわけではないのも確かです。
もちろん重要な要素が書かれているのでしょうが、ある一部分を切り取って書かれているという見方もできるからです。
人もさまざまな面を持ち合わせているように、神様も書物に書かれていない面があってもおかしくないですよね。
だから、文字に書かれていないことを自分なりに感じ取ってみることも大切だと思います。
そのために、その神様が祀られている神社に足を運ぶのはとてもいいことですよね。
『ホツマツタヱ』という歴史書は、また違った角度から見ることができるので、とても貴重な資料だと感じています。
それが絶対正しいというスタンスではなくて、さまざまな書物から多角的に観て、自分なりに感じ取ることが重要だと思うからです。
タマヨリヒメもさまざまな神社に祀られていますが、僕自身、
関係する神社を訪れたのは、この玉依比賣命神社がニ社目になります。
今までそれほど、タマヨリヒメに深く意識を向けていたわけではなかったので、
今回のご神事に参列出来たことは本当に良い機会となりました。
ご神事に参列する前に、一緒に参列する【勾玉オルゴナイト工房】デザイナー&クリエイターの千葉由紀子さんが創るタマヨリヒメをイメージした勾玉オルゴナイトを見せてもらっていたのもありましたが、実際に神社を訪れてみて印象が変わりましたね。
なんとなく柔らかいイメージがあったのですが、本当は力強さを秘めた方だったのではないかなと。
そんなことを感じるようになりました。
ちなみに千葉由紀子さんが創った「タマヨリヒメ」をイメージした勾玉オルゴナイトはこちらの2つです。
こちらが奉納された勾玉で、ホツマツタヱ研究家いと きょう先生著書の「十三姫物語」に出てくる和歌をもとに創られています。
こちらが一緒に参列するためにもってきた首飾りで、タマヨリヒメを千葉由紀子さんが感じるままに創ったものです。
※この勾玉の詳しい説明はこちらから見ることができます。
https://www.facebook.com/yukky.crystal/posts/2244723649087574
https://www.facebook.com/yukky.crystal/posts/2250341048525834
千葉由紀子さんは【勾玉オルゴナイト工房】デザイナー&クリエイターです。
彼女の勾玉はこのタマヨリヒメの作品のように、ひとつひとつにしっかりとした物語が込められています。
私も彼女の勾玉を身につけていますが、本当に素晴らしくて今では私の一部となっています。
では、この辺で実際のご神事がどうだったのかを書いていきたいと思います。
『児玉石神事』~2018年1月7日~
(一番前の中央が今回ご縁をつないでくださった吉野由美さんです。)
前日に宿泊した松代荘から車で5分くらい。
寒さで霜は張っていたものの、風もなく、お日様の温もりを感じられる清々しい朝でした。
社殿は歴史を感じさせる風貌があり、また思ったより素朴な印象を受けましたね。
また、それがとても素敵だとも思いました。
実際に足を踏み入れてみると、氣持ちが落ち着くような心地良さを感じます。
神社や地元の方々も笑顔で温かく出迎えてくれました。
到着してから少し時間がありましたが、
いよいよ、ご神事スタートです。
800を超える勾玉をひとつひとつ丁寧に数えていきます。
そして、両脇と後ろでは数える人がいて、正の字を付けていくのです。
寒いので手が、かじかんでしまうのでしょう。
ときより火鉢に手をかざしながら、地道にひとつひとつ数えていきます。
参列者は正面に引かれた座布団の上に座りながら見守っているのですが、場所を移動しても写真や動画を撮っても大丈夫。
比較的自由な感じに少し驚きながらも、地道にひとつずつ数えるその姿をみなで見守り続けます。
800を超えて、そろそろ終わりに近づいてきます。
もっと時間がかかると思いましたが、意外と早く感じました。
最後は本日奉納する勾玉が数えられます。
一緒に参列して、勾玉を奉納した千葉由紀子さん、栃澤まどかさん、池田淳子さん、田邊妃登美さん、西可奈子さん、酒井孝子さん、中野武さん、久美子さんの勾玉も新たに奉納品として数えられます。
数が集計されて、発表されます。
2018年度の合計は849個。
集計の後は広いテーブルの上に全ての勾玉が並べられて、、、。
古来よりある素朴な勾玉、ヒスイや滑石の勾玉、昨年、今年と新たに加わった勾玉オルゴナイトも素敵ですよね。
日本は古来より、さまざまな文化や技術を吸収して、それを巧みに融合してきました。
オルゴナイトという要素を組み入れた勾玉がご神宝として奉納されることは、まさにそれを表しているかのようです。
どんな形であれ、どんな材質であれ、どれだけ魂が込められているのかが大切ですよね。
きっと、タマヨリヒメもお喜びになっていることでしょう。
導いてくれた方々、温かく迎えてくれた方々に心より感謝の氣持ちを込めて
長い歴史の中で、少しずつ奉納されたきたこれらの勾玉には、
その時代、その時代で創ってきた人たちのそれぞれの想いが詰まっています。
それを一同に会して拝見していると、感慨深い想いが込み上げてきます。
奉納された勾玉を数えることで、その年の吉凶を占うというこのご神事は、
この長野の松代町で脈々と受け継がれ、厳かに続けられてきました。
おそらく知らない人はたくさんいると思います。
僕も今回、吉野由美さんからご縁を頂かなければ知らなかったでしょうし、こうして間近で感じることもできなかったです。
由美さんには感謝の氣持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました!
そして、これも神様の御計らい、タマヨリヒメの御計らいでもあるのでしょう。
身近な神社もそうですが、遠方にある神社を訪れるときは目に見えないお導きを強く感じます。
この「児玉石神事」の新たな参列者となった僕が書いたこの記事が、
このご神事を知るきっかけになったらこんなに嬉しいことはありません。
そんな想いを込めてこの記事を書いてきました。
終わった後の直会では、美味しいお食事とお酒のおもてなしを受けました。
笑顔で何度もお酒やお食事のお代わりを勧めてくださる神社や地元の方々の温かいお氣持ちを感じながら。
この神社に関わる方々の温かい笑顔と氣持ちに触れて、
そして何より、タマヨリヒメがお祀りになられているこの玉依比売命神社の温かくも力強い雰囲気に触れて、
「また来年もこの松代の地で児玉石神事に参列してみたい」
そう思うようになりました。
タマヨリヒメノミコトさま、この松代の地にお呼びくださって本当にありがとうございます。
吉野由美さん、ご縁を繋いでくださって本当にありがとうございます。
神社や地元関係者の皆さま、温かいお出迎えとおもてなしを本当にありがとうございます。
一緒に参列してくれた皆さん、本当にありがとうございます。
心より感謝を込めて、この記事の締めとさせて頂きます。
P.S.今回の児玉石神事に一緒に参列して、勾玉を奉納した【勾玉オルゴナイト工房】デザイナー&クリエイターの千葉由紀子さんが、
『玉依比賣命(たまよりひめのみこと)神社』の子持ち勾玉御守を作り、奉納することになりました。
その様子は下記の「平成31年1月 長野ツアー~其之弐(玉依比賣命神社 児玉石神事編)」の記事にてご紹介致しますね。
平成31年1月 長野ツアー~其之弐(玉依比賣命神社 児玉石神事編)
千葉由紀子さんの勾玉オルゴナイト工房のサイトはこちらです。
“児玉石神事~玉依比賣命 (たまよりひめのみこと)神社に初参列” に対して3件のコメントがあります。